結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度

■「結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度」を一言でいうと?

 

父母や祖父母から、20歳~49歳の子供や孫に対して、結婚、出産、子育てのための資金を贈与した場合、贈与を受けた一人につき1000万円(結婚に際して支出する費用については300万円)までは、贈与税が非課税になるという制度です。

 

■特例利用時の注意点

 

この制度の活用を検討される際に、いくつかご留意いただきたい点があります。

 

もともと、扶養義務者等から通常認められる範囲内で、必要な都度行われる結婚、出産、子育てのための資金の贈与は贈与税がかかりません。一方、「結婚子育て資金の一括贈与」の制度は「必要な都度」ではなく、将来必要と見込まれる分まで含めて「一括」して贈与しても税金がかからない点がポイントです。

・この制度を利用するためには、信託銀行等の金融機関で信託口座の開設が必要です。

・贈与を受けた子供や孫などが50歳になった時点で使い残しがあった場合には、その使い残しの金額に対して贈与税がかかります。

子供や孫が50歳になる前でも、贈与者(あげた側)に相続があった時点で使い残しがあった場合には、その使い残し部分の金額が相続財産に加算されます(もち戻し)。この点が「教育資金の一括贈与の非課税制度」と大きく異なります。

・この制度の利用は2019年3月31日までとされています(2018年2月時点)。今後延長される可能性もあります。

 

■結婚子育て資金の範囲

 

この制度の対象となる「結婚資金」、「子育て資金」の範囲については以下の通り詳細な規定があります。

 

(1) 結婚に際して支払う次のような金銭をいいます。

 

①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)

②家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)

(注)結婚資金の贈与については300万円までが非課税です。

 

(2) 妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。

 

③不妊治療、妊婦健診に要する費用

④分べん費等、産後ケアに要する費用

⑤子供の医療費、幼稚園、保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など

 

■結婚子育て資金一括贈与の非課税制度のメリット

 

①通常110万円を超える金額の贈与を行った場合には、贈与税が課税されますが、この制度の要件を満たせば、多額の金銭を贈与しても贈与税がかかりません。

 

結婚費用、妊娠・出産費用等のその都度使う分のみの贈与はもともと非課税とされていますが、この制度を利用すれば、直近で使う分だけでなく将来支出予定の分も含めて一括して贈与することができます。

 

③相続税の3年内贈与加算の対象外となりますので、例えば相続の直前にこの制度を利用しても相続税の対象から除外することができます(相続税を節税できます)。

 

④暦年贈与(いわゆる一般的な贈与)の基礎控除(年間110万円までは非課税)とも重複適用することができます。

 

■結婚子育て資金一括贈与の非課税制度のデメリット

  

①信託銀行等の金融機関に信託口座の開設が必要です。また、教育資金の領収書を口座を開設した金融機関に提出することが求められています。

 

②贈与額が将来の教育資金の費消額を上回る場合、使い残しとなり(50歳になった時点で使い残しがあった場合)、贈与税が課税されてしまいます。

 

繰り返しになりますが、子供や孫が50歳になる前でも、贈与者(あげた側)に相続があった時点で使い残しがあった場合には、その使い残し部分の金額が相続財産に加算されます(もち戻し)のでご注意ください。この点が「教育資金の一括贈与の非課税制度」と大きく異なります。

 

④受贈者となりうる子供、孫等が複数人の場合、親族間で贈与に不公平感が生じると、相続の時にもめる要因になってしまいます。

 

⑤贈与者が高齢で認知症となり、意思能力がなくなってしまった場合には、この制度を使うことができなくなります。意思能力がある段階でこの特例を実行する必要があります。

 

■この制度の活用事例

 

通常、相続人でない孫に対して金融資産を渡したい場合には、遺言を作成しなければなりません。ただし、遺言で孫に財産を渡した場合には、通常の相続税に加えさらに2割分多く相続税がかかることになっています(相続税の2割加算)。

一方、「結婚子育て資金の一括贈与」制度を適用した後で贈与者(あげた側)に相続が発生した場合、使い残し部分は相続財産に加算されることになりますが(もち戻し)、孫に対する「相続税の2割加算」は適用されず、通常の相続税のみの負担で孫に財産を渡すことができます。