最近の国税庁の統計データによりますと、相続税の申告をされた方の10~20%の方に税務調査が入っているのが実情です。
以前は遺産総額3億円以上の方に税務調査が入られるケースが多いと言われていました。確かに税務署側の視点から見ると、遺産総額が多い方の方が相続税率も高くなり、財産の申告漏れを見つけた時に効率よく多くの追徴税額をとれることになりますので、金額の基準があるのも事実です。
ただ最近では、必ずしも遺産総額のみを基準としていない調査事例も見受けられ、遺産総額3億円未満の方が調査に入られるケースが散見されます。そのような場合、税務署は特定の調査ポイント(税務署が追徴課税をとれると考えているポイント)を事前に調べてきているようです。
税務調査で計上漏れを指摘されることが多い財産は現金・預貯金が35.2%、有価証券が12.4%と、金融資産で50%近くを占めており(平成27事務年度)、金融資産が重点的に調査されていることがわかります。実際に税務調査の現場でも、相続税額に大きな影響を与える土地の評価よりも、親族間のお金のやりとりについて質問を受けることが多いです。
相続税の税務調査に入られやすい方の特徴をまとめてみました。
・遺産総額3億円以上の方
・遺産に占める金融資産の割合が多い方
・親族間での送金が多くあった方
・預金口座から多額の不明な出金があった方
・現金商売の事業をされていた方
・専業主婦の配偶者名義の預金や若い子供・孫名義の預金が多額にある方
・多額の海外送金の履歴のある方
・海外財産(不動産等)をお持ちの方
・職業や収入と比べて申告した財産が少ない方
・税理士に頼まずにご自身で相続税の申告をされた方
・相続税の申告が必要なのに申告しなかった方
これらの特徴に当てはまったとしても、必ず追徴課税がとられるわけではありません。生前にしっかりと対策を行ったり、相続税を専門とする税理士に相談していれば、結果が大きく変わります。
当てはまる可能性のある方は、ぜひ相続税の経験が豊富な税理士にご相談されることをお勧めします。